two-turn

5/11
前へ
/104ページ
次へ
『生徒会室』 と書かれた部屋に入る。 有空さんは奥の会長席に座り 俺は前にあるソファーに 腰を下ろした。 「まったく、朝から厄介な話だ。 代われ、二ノ宮」 「いやですよ」 面倒臭がる表情を隠そうともせず 俺に嫌味を吐いてくる。 生徒会長、桐原有空。 俗に言う 完璧超人、才色兼備、唯我独尊。 変な所が真面目過ぎて、 周りと少しズレている御方。 生徒会の 中でも扱えるのは俺一人だけだ。 「しかしだ、まさかこの学校から 死亡者が出るとはな」 ある意味、事故なのだ。 事故なんだが、車とは訳が違う。 殺人。 「まったくです」 あぁ、またこの感じだ。 心が堕ちて行く。 それこそ真っ逆さまに。 でも、何か端に引っ掛かる。 言葉にできない醜い気分。 これは────嫉妬? 「・・から、 ……おい、聞いてるか?」 「え? あ、すいません」 「ふぅ、ほんとお前って奴は」 再び説明してもらったことを まとめるとこうだ。 安達紗弥を殺した犯人は まだ捕まっていない。 そのため生徒会は 一週間の部活動の停止。 下校時間の引き上げ。 生徒達へのケア。 これらを校長に 申請することにしたらしい。 そして、 「あと、急いで申請書と 保護者向けのプリントを 作らなくてはならないから、 今日の授業は 全部でなくていいぞ」 公欠だ と言って有空さんは笑った。 その顔はとても綺麗だった。 「他のメンバーは どうしたんですか?」 あまり 直視していられなかったので すぐに別の話題を振った。 「あぁ。 公欠願いが会長の私と、 副会長のお前しか通らなかった」 「わかりました。 それじゃ、 二人で頑張りましょう」 そういって作業に取り掛かった。
/104ページ

最初のコメントを投稿しよう!

773人が本棚に入れています
本棚に追加