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あれは彼氏と別れたばかりの秋
そんな中
私は彼に出会った
「次は二日市~お降りの方は~」
いつもと同じアナウンス
いつもと同じ時間
いつもと同じ通学路
当時私は地元の短大に通う
一年生だった
毎日短大まで電車を乗り換え通い
レストランで週に五回はアルバイトに入っていて
なかなかに忙しい、でも比較的退屈とも言える日々を過ごしていた
そんなある日
いつもとは違うものが
目に入った
毎朝乗っている電車の中で
フと何気なく
視線を後ろの車両に向ける
ちなみにいつも私が乗る乗り換え電車は
乗り換える駅からたった二駅しかなく
その二駅の中には大学や高校
私が通う短大とは別の短大もあるのだが
大学は一人暮らしが多数で高校生とは通学の時間も違うし
方向的にも市内とは逆方向で
つまり殆どこの時間の電車利用者はなく
私たちと一緒の短大生ぐらいだった
ただでさえ利用者は少ないのだが
やはり降りる改札に近い前方の車両に乗る人が多く
後ろはいつもガラガラだった
私は基本的に人混みが好きではないし
改札が遠いとは言えどいつもガラガラでゆっくり座れる
静かな後ろの車両に乗るのが好きだった
その日も
いつも通り後ろから二両目の車両に乗っていた
ガラガラの後ろから二両目の席に座っているので
もちろん最後尾の車両は丸見えである
おや…?
そんな最後尾の中で
私の目がいつもとは違う景色を捕らえた
それは1人の男性
もちろん短大生の利用者が主と言っても
男性が珍しい訳ではない
若い男もそれなりにいる
ここから見えるのはその男性の横顔…
まさか…
こんなところに?
しかし
今私の目に映っているのは
まがう事なきリアル
……
なんと言う事でしょう…
正直超タイプ
岡田君にソックリ…
そぅ
私の目に飛び込んできたいつもとは違う景色とは
V6の岡田君に
ソックリな顔をした
1人の男性だった
私は興奮した
まさかこの下界に
岡田君本人ではなく
岡田君の様に整ったお顔をされた人が
存在するなんて……
その彼は
制服を着ていた
帽子を被っていた
さすがにこの時代
帽子を被った学生には
なかなかお目にかかれなぃ
そぅ
彼は私と違い通学中ではない
学生ではない
最後尾に座っていた訳ではない
勤務中だった
車掌室の中にいたのだ
そぅ
いわゆる彼は
車掌さん
だった
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