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ん・・・・ここは・・・何処だ?
『――うつけ、うつけが通るぞ』
『おぉ・・・早く退こう。うつけが感染ってしまう』
これは・・・夢、か?
目に映るのは木造の平家・・・長家と言われる家の軒。
足元は全て土で遠くに見える風景は緑に溢れている。
『――全く、織田家の世継ぎがあのようなうつけでは、この国は終わりじゃ』
『しっ、声が高いぞ。聞こえたら殺されてしまう』
道行く着物姿の人々が、口癖に何かを言っている。
その言葉は侮蔑と恐怖に塗れている気がする。その矛先は
・・・・オレ?
『おぉ、恐ろしや・・・早く家に・・・』
オレの目線が前に進むに連れ、人々が家に入っていく。
まるでオレを・・・避けてるみたいだ。
なんだよ・・・言いたいことがあれば面と向かって言いやがれ!!
と、怒鳴ろうとしたが、身体の自由が効かない。
というかさっきから目線は、オレの意志に関係なく前に進んでいる。
なんだか別人の身体に入り込んだような気分だ。
『――おじちゃん』
と、
いきなり、後ろから声をかけられた。
"誰か"の目線が振り返ると、そこには男の子・・・だろうか、6・7歳ほどの子供が立っていた。
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