間章1

2/3
74人が本棚に入れています
本棚に追加
/66ページ
ん・・・・ここは・・・何処だ? 『――うつけ、うつけが通るぞ』 『おぉ・・・早く退こう。うつけが感染ってしまう』 これは・・・夢、か? 目に映るのは木造の平家・・・長家と言われる家の軒。 足元は全て土で遠くに見える風景は緑に溢れている。 『――全く、織田家の世継ぎがあのようなうつけでは、この国は終わりじゃ』 『しっ、声が高いぞ。聞こえたら殺されてしまう』 道行く着物姿の人々が、口癖に何かを言っている。 その言葉は侮蔑と恐怖に塗れている気がする。その矛先は ・・・・オレ? 『おぉ、恐ろしや・・・早く家に・・・』 オレの目線が前に進むに連れ、人々が家に入っていく。 まるでオレを・・・避けてるみたいだ。 なんだよ・・・言いたいことがあれば面と向かって言いやがれ!! と、怒鳴ろうとしたが、身体の自由が効かない。 というかさっきから目線は、オレの意志に関係なく前に進んでいる。 なんだか別人の身体に入り込んだような気分だ。 『――おじちゃん』 と、 いきなり、後ろから声をかけられた。 "誰か"の目線が振り返ると、そこには男の子・・・だろうか、6・7歳ほどの子供が立っていた。
/66ページ

最初のコメントを投稿しよう!