プロローグ

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「なんでって、そんなの言わなくても雫さんには分かってるんじゃないですか?」  雫の眉がピクっと動いた。 「そうだね…。 分かってるよ。 小百合ちゃんの気持ちは知ってる」  二人が剣幕なムードになってきたので間に入る。 「はいはい。 朝練に遅れるだろ二人とも。 続きは放課後でいいじゃんか」  俺の言葉を聞いて二人はこっちを向いた。正確には睨んだ。邪魔しないでよ、と目で主張しているのが痛いほど分かる。 「「あははははは!」」  俺を睨んでいた二人は俺を見ながら笑いだした。 「そうだね。 朝蓮遅れちゃうね」と雫。 「ですね。 早く行かないと遅れちゃいますね」と小百合。  そう言って笑いながら俺を置いて歩きだした。 「ちょ! そりゃあねぇよ!」  二人は振り返り 「早く来ないと置いて行くよ」 「早くしないと置いていきますよ」  と言って歩き出した。  俺はそんな二人にため息をつきながら二人を追って歩き出した。
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