プロローグ

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 …  夢って、例え夢だってわかっていても何もできない。  わかっているのにも拘わらず思いのままに動けない。  俺は今そんな夢の中にいるんだと思う。  それに気が付いた時には、声が聞こえていた。 「うぅ……ひっく……うぇ…」  誰かが泣いている。少しその声に近づいてみると、白いコートを着た少女が泣いているのが肉眼で見えた。あと、その少女を慰めようとする少年が困った顔をして少女の前に立っていた。  よく周りを見てみると、雪が積もって真白になっていた。季節は多分…冬。空を見上げれば曇り空から雪が降っている。どこか懐かしいような風景に少し見とれてしまった。  泣いている少女、困っている少年。少女と少年には少し雪が積もっている。 「嫌だよぅ…。 さよならなんて嫌だよぅ……」  少女の別れを悲しむ声。聞いたことのあるような声。見たことのある少女の泣き顔。 「僕だって…嫌だよ……」  少年も別れを悲しんでいる。少年はもう、泣く寸前だった。でも少年は意地を張っているのかそれを我慢しているように思えた。二人を見ていた俺もなんか悲しくなってきた。  ああもう!感情移入って厄介だな!  感情移入に対して困っている俺を置いて当たり前のように話は続く。
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