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わかる?そんなことあるわけないだろう。それこそ超能力じゃないか。そんな能力が身近な人間にあるわけない。俺は絶対信じない。
「は?そんなこと分かる訳ないだろ?」
思わずそんなことを言ったせいか、小百合すねて口を閉ざしてしまった。
「……」
「さ、小百合…?」
「……」
無視された。
「小百合さん…?」
「……」
呼び方を変えても駄目…か……。
「うーん……っておいっ!?」
次はどうしようかと考えてる間に、小百合は俺を無視して食器を片づけ始める。
台所から響く水の流れる音が、とても寂しかった。黙々と食器を洗う小百合は機嫌が直っておらず、俺が差し出した食器を目線を動かさずに受け取ると、無言の食器洗いに戻っていった。
カチャカチャと食器がぶつかる音がやけに大きく聞こえて、それが小百合の怒りの声にも聞こえる。
「…今、失礼なこと考えてなかった?」
突然後ろから声をかけられたせいか、体がビクッと震えてしまった。
「なにをやっているんだか」
振り向くと笑っているように見えて、目は笑っていなかった。小百合、怖い娘。思わず土下座をしたくなるほどだった。そんなことを考えてボーっとしていると小百合が心配そうに俺の顔を覗き込んできた。
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