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(武器と経典魔術だけで、何とかするしかないか……)
覚悟を決める桜田は、
「ん~……そこかしら?」
女性の声の直後、ゴミ山を貫いて、頬のすぐ横に突き出た刃に、
「うわッ!」
思わず悲鳴を上げ、慌てて飛び退いた。
一瞬の後、彼女が身を潜めていたゴミの山が、ポップコーンが弾けるように、斬り刻まれながら宙を踊る。
回避するのがあと一秒遅かったら、彼女も細切れにされていただろう。
「うふふふふ……逃がさないわよ?」
蹴散らされたゴミの向こうから現れたのは、年齢を計りにくい女性だ。
身を包むのは、チャイナドレスのように足を露出した衣服。ウェーブのかかった髪は、背中まで伸びて妖しく揺れる。
顔にも妖しい笑みを浮かべる女は、
「ホントは男の子の相手がしたかったけど……あなた可愛いし、楽しめそうだから良いわ」
右手に握る、幅の広い両刃剣を振りかざした。
すると、内部に仕込まれたワイヤーが作動し、刀身を鞭のごとく伸長させる。
刀剣の一種──関節剣だ。
荊(いばら)のような意匠が施されたそれは、先程刻まれたゴミを、さらに微塵切りにしていく。
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