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桜田は冷や汗を流すが、
「……裏で何かやってるような人に好かれたって、嬉しくないわよ」
大鎌を構えて言い返した。
「元気ね。今は」
意味ありげなことを呟き、女は右手をくいっと引く。
その一動作でワイヤーが収縮し、幾つもの節に分かれた刃を、元の一振りの剣へと戻した。
「その強気な態度がどう変わるか……今から楽しみだわぁ」
身をくねらせて悶える女の、向かって左側のゴミ山に手のひらを向け、
「Origin・46【泥津波】(どろつなみ)!」
一言唱えた桜田は、一気に駆け出す。
大量の粗大ゴミを伴った土砂が、まるで津波のように、女を横から襲った。
「嫌ねぇ。服が汚れちゃうじゃない」
ため息混じりに言い、女は右手を素早く振った。
土も石もゴミの類いも、鞭のように伸びた刃が斬り刻む。
その隙に突撃する桜田は、薄い月明かりで純白に光る、巨大な鎌で斬りかかるが、
「うふふ……ダぁメ」
女は軽いステップを踏むだけで、鋭い切っ先を回避した。
続けざまに、長い柄を女の脇腹に突き出すが、その小さく素早い一撃さえ、事も無げにかわされる。
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