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「積極的なのはいいけど、ちょっと遅すぎじゃなくて?」
艶かしく微笑んだ直後、元の長さに戻った関節剣が、桜田の腕を引っ掻いた。
「ッ!」
浅くも鋭い一斬りに顔をしかめながらも、少女は半歩退いてから、鎌をもう一振りする。
が、退いたのは女の方も同様で、三日月型の刃は空を斬る。
「オホホホホ! 健気ねぇ、そそるわぁ!」
高笑いした女性の右手が、白い文字群が駆ける空へ、限界まで関節剣を伸ばした。
剣はそのまま振り下ろされ、先端の刃が、離れた桜田に噛みつかんとする。
「くぅッ!」
辛うじて防ぐも、遠心力で威力を増した一撃は、鎌そのものに多大な負荷を与えた。
否、桜田の腕にも。
骨に響き渡るような衝撃は、桜田に武器を取り落とさせる。
「あら、ごめんあそばせ。ちょっと痛かったかしら?」
しかし、女は追撃しない。伸ばした刃を回帰させ、余裕を感じさせる笑みを浮かべる。
「こんなに気持ちが高ぶるの久しぶりだから、つい力が入っちゃったわ」
「ハア……ハア……」
片膝をつく桜田は、深い色の瞳で女性を睨みながら、息を荒くする。
先の強烈な一振りは、未だに両腕を痺れさせていた。
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