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とりあえず、いつ攻撃が来ても避けられるよう、足にだけは力を入れつつ、
(……本当にマズイな……)
桜田は眉をひそめ、懸命に舌打ちを堪える。
(武器中心じゃ、ちょっと……キツいわね)
彼女の武器である大鎌は、その形状と大きさ故に、密着戦には不向きだ。
故に桜田は、ある程度の距離を置きながら戦い、相手の血を十分に集めたら、一気に本気を出す展開を狙っていたのだが、
(何か……術師タイプと戦ってるみたい……)
女の武器──関節剣は、桜田の手の届かない場所から攻めてくる。
彼女が近づいたとしても、回帰させた剣で応戦するか、かわすかした後、再び逃げてしまう。
早い話、桜田が攻撃するチャンスが無いのだ。
「……」
ようやく腕の痺れが取れた桜田は、しゃがみ込んで大鎌の柄を握り、刃を腕の傷に押し付ける。
すると、流れていた血は、消えるように鎌に吸われた。
「変わった武器ね」
一部始終を見ていた女は、妖しく微笑みながら言う。
「そうやって吸わせた血は、何に使うのかしら?」
「……」
答えず、チラリと武器に目を落とす桜田。
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