3.想い

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ややあってから、立ち上がって足を肩幅に開き、 「……ちょうど良さそうだし、その目で見てみる?」 純白に染まる三日月形の鎌を、音もわずかに構える。羽のような装飾が、刃の末端で煌めいた。 「あら、来るの?」 茶化すように言う女は、言葉の余裕さとは裏腹に、いつでも剣を振れる体勢を作り、 「うふふ……いらっしゃい。可愛がって、あ・げ・る」 どことなく危険な口調で、眼前の少女を挑発する。 「じゃあ……行くわよ」 一方の少女は、女性にではなく、 「<クレセント・ヴァンパイア>」 自身の相棒に向かって、そっと呟いた。 次の瞬間、雪のように白かった刃は、剣尖から末端の装飾まで、血のような真紅に染まる。 使用者本人の血液しか吸っていないため、その変化は実に緩やかだ。 「?」 わずかに目を見開く女を前に、長い柄の中程を握る桜田は、 「【血色(ちいろ)の波紋】……」 刃が下に来るように持ち、切っ先を相手に向け、 「【-氷山-】!」 声高に吠えて斬り上げた。 軌道に満月を描く刃は、地面を赤く塗り替える魔力体を、放射状に放つ。
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