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高速で地表を滑るように走る、紙並みに薄い放射状の魔力体は、
「!」
撃った場所を起点として、氷河を彷彿とさせる刃を、大量に突き生やし始めた。
次々と作り出される真紅の塊が、ゴミ山を突き砕いて飲み込む一方で、地を伝う魔力体は、女の足元をも真っ赤に染める。
あと数秒もすれば、彼女の直下からも、紅の刃が突き出るだろう。
「……激しいわね」
回避は不可能と判断した女は、ポツリと呟き、右手の関節剣を操った。
地を染める魔力ごと、周囲の大地を削り取ることで、刃の山をかわすつもりらしい。
それを最後に、女の姿は見えなくなる。赤く太い針が、彼女を囲むように大量に生えたからだ。
が、桜田は間髪入れずに、次の攻撃に移る。
「【血色の波紋】……」
今度は暗い天に向け、鎌を一薙ぎ。
「【-飛鳥-】(あすか)!」
発生した真っ赤な魔力体が、小鳥にも似た刃の群れとなって、女がいると思われる場所へ飛んでいく。
放物線を描いて急降下する刃たちは、その一部が、関節剣によって掻き消された。
女性は恐らく、自分に当たりそうな刃を見極め、それだけを弾いたのだろう。
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