3.想い

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桜田の思惑通りに。 (かかった!) 彼女が放った鳥型の刃の内、無事なものは、女の周囲に広がる真紅の山にヒットする。 それにより、 「行けェェェ!」 接触した部分が、細かい刃の散弾となって炸裂し、四方八方から女性に襲いかかった。 相手の様子は見えないが、届いてくる破砕音から、手応えを実感する桜田は、 (完全に木宮君の真似だけど……まあいっか……) 息を切らしながら、紅の氷山を前に、わずかな微笑みすら見せる。 しかし、 「……」 心中に浮かんだ"木宮"という人名に、すぐに表情を曇らせた。 ここ最近の彼女は、木宮のことを考えるたびに、テンションが下降してしまう。 今のような非常時においても、それは変わらない。 「……あー、もう!」 茶色のショートカットを引っ掻き回し、嫌な方向へ転がりそうな思考を中断する。 続いて空を見上げるが、夜空には相変わらず、結界の存在を示す文字群が駆けていた。 (……どうすれば解けるのかな?) 小首を傾げた桜田は、ひとまず結界の壁際に移動するべく、色を失ってしまった鎌を持ったまま歩き出す。
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