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が、次の瞬間。
真紅の剣山を、まっすぐに貫いてきた関節剣が、桜田の左脇腹を深々と斬り裂いた。
「ぁぐッ!」
腹部を駆け抜ける激痛に、顔をしかめながらも、死に物狂いで退く。
やや遅れて、少々収縮した刀剣は、暴れ牛のように跳ね回り、真紅の氷河を斬り刻んだ。
その奥から、
「ハー……ハー……」
顔にも吐息にも、並々ならぬ憤怒を纏った女が、ゆっくりと歩き出してくる。
刃の炸裂をもろに受けたのか、全身に大量の傷を負っている上、服もズタズタだ。
怒りも限界に達したか、
「よくも……この私の顔に、傷を付けてくれたわねぇッ!」
顔を走る数本の浅い傷をなぞりつつ、腹を押さえてうずくまる少女に怒鳴る。
「髪も服もボロボロッ……もう、ただじゃおかないわよ!」
血まみれの右手で、同じく血にまみれた関節剣を固く握り、
「あなたの血肉と断末魔で……しっかりあがなってもらおうかしらねぇ!」
甲高く吠え、振りかざした。
「ッ……!」
鎌を空にかざした桜田は、振り落とされた刃を、ギリギリで防御する。
力んだ結果として、脇腹の深い裂傷が、豪快に血を噴いた。
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