3.想い

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ぐらりと、彼女の視界が揺れる。 「くッ……!」 痛みと目眩に感覚を奪われながらも、桜田は関節剣を払いのけ、大きく飛び退いた。 そうして初めて、自身の呼吸が、大げさなくらい荒くなっていることに気づく。 (嘘でしょ……何でアレ喰らって立てんの!?) ひとまず、自分の血を鎌に吸わせつつ戦慄する桜田。 彼女の目は、頭頂部から真っ赤に染まる女に、化け物を見るような視線を送っていた。 「どうしたの? もっと威勢よく来なさいよ」 浴びた血液を輝かせ、刃を構えた女は、 「さっきみたいにねぇ!」 再び関節剣を暴れさせる。蛇のようにのたくる斬撃が、辺りの粗大ゴミを散らしながら、重症を負った少女に飛びついた。 それを避け、ゴミ山の陰を伝うように逃げる桜田は、 (マズイよ……血ぃ出しすぎたし……!) さらに息を乱し、自らの心を焦りで満たす。 とにかく止血しなければならないが、桜田は回復系の魔術を使えない。 治癒魔術の使用には、人体に関する知識が必要だが、あいにく彼女には、そこまでの知識がないのだ。 重度の貧血状態の中、 「……」 桜田は、山の陰に身を潜めてしゃがみ込み、必死に考えを巡らせる。
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