2.量と質

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少し前 桜峰市内某所──── 目的地に到着したその者は、地面に右手をつく。 およそ一週間かけて、術式に溜め込んでおいた大量の魔力が、周囲に結界を張り巡らせた。 「……」 白い文字群が駆ける夜空の下、その者は歩を進めながら、右手を左腰に持っていく。 武具召喚の光から現れたのは、抜き身の両刃剣。 闇よりも深い漆黒の刃には、鋭い剣尖に、真っ白いバラが刻み込まれている。 「……」 暗黒を形にしたような刃を腰に提げたまま、その者は歩き続け、やがて立ち止まった。 目の前にあるのは、円形の巨大な建造物。 「……」 唇が、ニヤリと歪む。 憎しみを吐き散らす時は、近い。 ────
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