3.想い

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街の北端──── 桜峰市の北には、粗大ゴミなどが大量に投棄された、広大な土地がある。 ゴミの山が、そこかしこに築かれている中、 「オォーッホッホッホ!」 響くのは、女性の高笑い。 「出てらっしゃい! まだまだ愛で足りないわぁ!」 オペラ歌手のような、よく響く声の後。 ゴミ山の頂上に寝ていた冷蔵庫が、真っ二つに斬り裂かれ、斜面を滑り落ちた。 その様子を、 「……」 隣の山の陰から見る少女──桜田 千夏は、近寄ってくる足音に、身を強張らせた。 純白の大鎌<クレセント・ヴァンパイア>の柄を握る右手は、あちこちに浅い切り傷が走っている。 右手だけではない。セーラー服を纏う体も、大量に傷を負っていた。 どれもさほど深くはないが、セーラー服は所々赤く染まっている。 (あまり長引いちゃうとマズイな……) 桜田は考えを巡らせつつ、中腰で立ち上がって、大鎌を構える。 流れ出た血液を吸わせた鎌は、しかし、まだ全力を出せない。 吸った血の量に応じて、攻撃能力を強化・多様化できる鎌だが、自分の血液では、起動効率が悪すぎるのだ。
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