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静かな夜だった。 窓が開いているらしい。 少し肌寒いくらいの風が病室に注ぐ。 目が覚めると壁も天井も真っ白な部屋のベッドの上にいた。 右腕には点滴が繋がれていて、腰を拘束具でベッドに繋がれていた。 また自殺しないようにだろうか。 どうやらここは病院らしい。 記憶によれば、睡眠薬を大量に飲み、布団に入ったとこまでは覚えている。 なんで死ねなかったのだろうと、今生きていることを悔やんだ。 誰にも言えない罪悪感で涙が出てきた。 自分の存在が許せなかった。 苦しいと言うか切ないと言うか、もうこんなにも死にたい。 死にたい死にたい死にたい…。 何をやっても駄目だった。 スポーツも勉強も人間関係も何もかも。 「はぁ…。」 考え出したら溜め息が尽きなかった。 しばらく真っ白な壁をボーッと眺めていたその時だった。 水輝の背中に寒気が走った。 耳鳴りもする。 誰かの視線を感じた。 水輝は病室を見回す。 すると部屋の隅に、白いワンピースを着た女が、綺麗で黒く、腰まである長い髪を靡かせ、こちらを見ていた。 悲しい目をしていた。 思わず水輝は絞り出すようにして声をだした。 「だ、誰?」 すると女はゆっくりと天を仰いだ。 つられて水輝も天井を見る。 そこには何もなかった。 女に視線を戻すと女は姿を消していた。 あまりに突然の出来事だったのもあり、恐怖と驚きで水輝は困惑していた。 窓から吹く冷たい風で正気を取り戻し、布団に潜り込んだ。
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