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次に目が覚めたのは、翌日の昼過ぎのことだった。
ベッドのすぐ横には僕の母と見知らぬ看護師が立っていた。
「気がつきましたね片瀬さん。今先生お呼びしますね。」
母が立っていると言うことは、また説教が始まる。
昔から口煩い性格だった。
そんな母から思いもよらない言葉が口から出てきた。
「生きててよかった…。もぉ戻ってこないかと思った…。」
涙しながら言った台詞に心打たれ、いつの間にか僕も涙していた。
だが僕の場合嬉しさよりも、罪悪感で泣いていた。
そこへ先生がやってきた。
眼鏡をかけた細身の男性の先生だった。
「体調はどうかな?」
「まぁまぁです。」
「そっか。なんで自殺未遂なんてしようとしたのかな?」
「…何もかもが嫌になって、それで…。」
「お母さんとお話したんだけど、明後日水輝君の体調が良ければ、退院を予定してます。その際約束してもらいたいことがあります。」
「約束?」
「そう。もう自殺をしようとはしないで欲しい。自分だけじゃない、お母さんや家族、今まで君に関わってきた人全ての人に、心配と迷惑をかけるんだよ。」
わかりきったことを…。
これ以上迷惑かけないようにと思って自殺したのに。
「はい…。もう…しません。」
渋々だった。
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