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モール酋長・マックス・ダンテは向かい合って座っている
モール「アウ」
マックス「(ラピスの方を見る)」
ラピス「挨拶をして、アウと」
マックス「アウ」
ダンテ「(肩をすぼめる)アウ」
モール「ラピスから大体の事は聞いた。が少し気になることが一つあった」
マックス「なん…でしょう」
モール「育ての父という言葉だ。ラピスはそう言った」
マックス「はい」
モール「よければ話してみろ。なぁに、話せば少しは気が楽になると思ってな」
マックス「うん……」
モール「遠慮はするな」
ダンテ「話、聞いてもらえよ。独りで思い詰めててもしょうがないだろ。助けてもらったついでだって」
マックス「実は私は昔、捨て子だったんです。ちょうど今から15年くらい前でしょうか。私が店と店の間の路地で、ひもじい思いで座り込んでいた時です。突然、大丈夫か?と声を掛けられて咄嗟に首を横に振りました。そうしたら、優しく声を掛けて下さった方の家へと招かれたんです」
モール「それで?」
マックス「それから、その家でスープだの果物だのと色々食べさせてもらい、いつの間にか空っぽだった腹は満腹になっていて…気付いたら私を養ってくれて」
ダンテ「じゃ、マックスに声を掛けた人って」
マックス「そ、俺の今の父ロバート船長さ」
モール「母親はどうした」
マックス「母親の方は、父ロバートから重い病で亡くなったと聞かされています。だから……母親の温もりを知らずに生きてきました」
ヘンリー「まあ、可哀相に」
モール「本当の親は」
マックス「知りません。二人とも…」
モール「そうか」
マックス「父の傍にずっといてたら…自分まで海賊になっていたんです」
モール「マックス・ウィルソンと言ったな。さぞかし苦労があったろうに。少しここで休んでいくといい」
マックス「有り難うございます酋長。こんなどこの者とも判らないような男の話を聞いて下さいまして。何てお礼を言っていいのか」
モール「遠慮はいらんと言ったろうが」
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