第一幕

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(スモーク/波の音) 薄暗い中 マックス、ダンテ登場。 二人ふらふらと歩き倒れる。 (少しの間/BGM) ラピス登場。 音楽に合わせて軽く口遊ぶ。 マックス、BGM後半で気がつく。 音が終わる前に。 マックス「(銃を構える)誰だっ。(撃とうとするが、潮水にやられている)くそっ。(そうっとラピスの顔を見る)あなたは?」 ラピス「この島の者。あなたは?」 マックス「マックス。かいぞ…」 ダンテ「(すっと起き上がる)海賊さ」 マックス「ダンテ!大丈夫か」 ラピス「海賊、海賊ですって!(手に持っている木の棒を二人に向ける)ココヘは何をしに来た。用がないなら、とっとと消え失せろ」 ダンテ「ああ、そうするっ(去ろうとする)」 マックス「(呆れながらダンテの後ろ襟を掴み引き寄せる)俺達は海賊ではありません。海賊を辞めた者です。そうだろ、ダンテ」 ダンテ「(うなずく)」 ラピス「辞めた?どういう事?説明しな。まあ、その格好じゃ信じられないかもしれないけど」 マックス「実は、俺の育ての父が海賊の頭になってしまって…人を平気で殺して、金目の物を奪い取る。そんな野蛮な人になってしまったんです。ただ、根はもっと人を思いやる優しい心を持つ人のはず」 ラピス「ん…」 マックス「もう俺は荒れ狂う父を、歪んでゆく父を見たくはないんだ!だから、黙って」 ダンテ「船を抜け出してきたのさ」 マックス「だからもう、海賊なんかじゃない。ただの男さ」 ラピス「嫌な事を聞いてしまったかしら」 マックス「いや。(咳込む)すまない、初対面なのに…こんな話」 ラピス、マックスの肩に手をやる。 ラピス「冷たい。なんでこんなに体が冷えきっているの?このままでは風をひいてしまうわ」 ダンテ「もう、ひいてるぜ」 マックス「言ったろ。船を抜け出して来たって」 ダンテ「確かオイラ達が船を飛びだしたのは昨日の夜。今が朝だから、とりあえず長~い時間、海の中を漂ってたわけさ。で、はっと気がついたらココにあんたがいてさ、あら、困ったぞと思って。それからマックスが…」 マックス「ちょっと待て、ダンテ」 ダンテ「?」 マックス「どうして、今が朝だとわかる?俺は今が朝か昼かなんて全然わからねぇよ」 ダンテ「なんてこったい。今まで船にいて朝と昼の区別もつかないのかぁ?ほら、見てみろよ(空を指差す)太陽がまだ下の方にあるだろが。だから今は朝なんだ。昼は太陽がほぼ真上にきて霧もスカッと晴れるもんさ」
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