ユーレイとマドレーヌ

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これを機に聞いてみるのもいいかもしれない。 「あの……201号室の人って、どんな方なんですか?」 上條は思いきって尋ねてみた。 「あー、あの人ちょっと変わった人よね」 「ですよね……」 自然と二人は小声になる。 「たまーにばったり会うと声かけたりするんだけど、殆ど喋らない人なんだよね。一応会釈はしてくれるけど。見かける時はいつもどこかボーっとしているように見えるし……。いつもああなのかしら」 近野は考える素振りを見せて首を傾けた。 自分が会った時の彼の様子と一致する。 やっぱり………。 「人と話すのが苦手なのかもね。それで、その人がどうかしたの?」 「いえ。その、挨拶に伺った際に……少し気になったもので」 「なんとなく分からなくはないわ」 近野は半笑いだ。 「それじゃ、失礼するね。おやすみなさい」 「はい。おやすみなさい」 近野が去った後、上條は改めて思った。 やっぱりあの人はいつも“そう”なんだ――。 正確には近野に言ったように『挨拶に行った時』ではなく、気にかかったのは先日の事によるものの方が大きかった。
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