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(なんなんだ……)
上條は眠い目を擦りつつ眉根を寄せた。
俗に言うアニソンというやつか?そういうジャンルには詳しくないがアップテンポでとてもノリノリだ。歌声が高い。
それはともかく、
「うるさい………」
今何時だと思っているんだ。音量が大きすぎる。もの凄い近所迷惑である。
隣から発せられるアニメ声が耳障りでこれではとても眠れない。時計の指針が時を刻む音だけが耳に届く静寂な夜は何処へ消えてしまったのか知れず。
早く寝たい。特に今日は疲れているのに。
どれほどの時間が経っただろう。日付はすっかり変わっている。
そのうち止むだろうと思っていた。
しかし、上條が今か今かと思っているうちにはついに叶わなかった。一旦途切れても忘れる前にアニメ声という名の騒音はやってくる。
初対面の時といい――こんな夜中に大音量で音楽を……なんて人なのだ。
流石に長い。自分は十分耐えた。許容範囲は超えた。
上條の苛立ちは時に比例するように募っていき、そしてついに意を決して上体を起こした。
こういうの苦手だし、気が進まないけど……でもちゃんと言わなくちゃ。
無論、苦情を言いに行くのだ。
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