~第一章~

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 連日の記録的な蒸し暑い日々が続く中。時折、心地良い爽やかな涼しい風が吹き抜け、駅前の道路に広がる街路樹の若草色の新緑は揺れる。ビルが建ち並び、より一層暑さが増す中に細やかな清涼感を感じる。  人々が行き交う中、少年は足早に人混みを掻き分けて歩いていた。少年の名は、保坂 翔と言い、地元の中学校に通う十二歳、見た目は何処にでもいるような街中に溶け込む少年だった。中学に上がってから酷く荒れるようになり人当たりも悪く、人と同じことをする事と、人混みが嫌いだった。何よりも彼は群れる事が一番嫌いだった。
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