俺はあずさのプロデューサー

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カカロットたちとの戦いに敗れてから数カ月、奴らの住む地球という星に興味を持った俺は暫く地球に移住することを決めた。しかし、どうやらこの星では働いて金を稼がなければ遊ぶことは愚か飯を食うことさえできないらしい。 そこで俺が目をつけたのがアイドルプロダクション318プロ。 ……。 聞き覚えのある名前だな…まあ、いいか。 とにかく今日から俺のプロデューサー人生がスタートするわけだ。   仕事なんてするのは初めてだ。やはりいくら俺でもこういうことは緊張する。恐る恐る事務所のドアを開いた。誰かいるかと小声で尋ねたところで返事など返っては来ぬぅ…! 「あれ?えーと、あなたは……どちら様でしょうか……?」 玄関から事務所の中をきょろきょろと見回していた俺は女の声に反応してその方向を向く。緑の制服にショートカットの黒髪、なんとも清潔感に満ち溢れた女だ。 「お前は……事務所のアイドルかぁ…?」 「いえ、私は318プロで事務などをしております、音無小鳥と申します。……あなたは…もしかして、今日から318プロで働いてくださるブロリーさんですか?」 「その通リーです」 「社長があちらでお待ちです。どうぞ」 小鳥と名乗った女は丁寧に俺を社長室へと案内した。社長室、聞けば社長というのは会社で一番偉いらしい。だがこの程度の緊張で引き下がるとでも思っているのかぁ…?   事務所へ足を踏み入れた時とは違い今後は堂々と社長室のドアを開く。 「おはようございます」 「よく来てくれた」 俺が挨拶をするのに続いて後ろ姿の社長の声を聞く。それもどこかで聞いたことのあるような声だ。今日はやけに聞き覚えのあるものによく出逢う。少し嫌な気配がした。回転式の一人用ソファに座った社長がそれを回してこちらを向いたのに、俺は息をのんだ。 「私がこのプロダクションの社長、『パラガス』だ」 「…親父ぃ……!?」 「ブ…ブロリー……!?」 お互いに久しぶりに見る顔に周りの空気が凍ったようだった。 「…死んだのではなかったのか……」 我に返ったように深い息をついてソファに座りなおした親父は自分の髭を撫で、動揺した気持ちを抑えるかのようにもう一度深く息を吐いた。 「死んでいてほしかったか?生憎だが下級戦士がいくらかかってこようと俺に完全な死を与えることなどできぬ」
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