我思う、故に我在り

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その時、僕は中学3年生のちっぽけな少年で、 学校での成績は全て1番だし、何をしても上手くこなせて、同い年の少年たちよりよっぽど大人で、 この地の誰よりも広い視点で世界を見ていると思っていた。 心の奥ではみんなを見下し、いつも自信満々だった。 でも表面上は中学生らしく、友達との幼稚な遊びにも付き合ったし、みんなの嫌がる仕事を率先して引き受けて周りからの好印象を獲得し続けたし、決して見下したり、常に自信がある素振りなんか見せなかった。 だから女の子はもちろんのこと、男の子からも人気があったし、先生や周りの大人達からもいつも称賛されていた。 全ては僕の思惑通り。 こんなに簡単に世界は動かせるんだ。 そう思っていた。 ─今思えば、沙來と初めて言葉を交わしたその瞬間から、僕の世界が大きく動き出したのだろうか。
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