3、海賊船ナーガルダ号

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「落ち着きましたか?」 「すみません…」 船内の一室。差し出された茶を飲み干したサアヤは、相手を見た。 「えっと…」 「カイルです。うちの船長と船医がお世話になりましたね」 「あの…フェイトさん、とアリノアさんは…?」 一旦落ち着けば、やはり見知った顔がある方が良い。 船室からは、暮れていく海しか見えない。 「すぐに戻ります。…まずはお名前を聞かせてもらえますか?」 「…サアヤです」 「リンダというのは?」 「友達です…置いてきちゃった…」 俯き、手を握りしめたサアヤに、カイルは微笑む。 「大丈夫ですよ。自分を責めるものではありません。……二人で、どこかへ行ってきたんですね?」 「時計台に、行ったんです…」
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