3、海賊船ナーガルダ号

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「準備、出来てる」 「つー訳だ。とりあえずカイルは船を海境線近くに待機させとけ。サアヤの事はアリノアに任せる。だからお前を連れて行くんだしな」 笑うフェイトに、カイルはため息を吐きこめかみを抑える。 「何をするつもりかは分かりませんが、くれぐれも無茶はなさらないようお願いしますよ。カダール、しっかり船長を見張るように」 「うん」 「アリノアも。久しぶりなんだから無茶するんじゃありませんよ」 「大丈夫よ。護衛だし、無茶なんて出来ないわ」 机に広げられた地図。 サアヤが印を入れた時計台の場所に、フェイトがナイフを突き立てる。 「目的は分かってるな」 「船と残った船員は任せて下さい」 「リンダちゃん、無事だと良いわねぇ」 「頑張る」 フェイトの手に小さな鍵が握られる。 「メンバーは決まった。作戦も抜かりはねぇ。後はやるだけだ」 ランプの明かりに照らされたフェイトの目には決意の色。 「約束を果たす時が来た。行くぞ」 窓の外には暗い海と輝く月。 船長室の明かりが静かに消えた。
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