4、森の中へ

12/16
前へ
/65ページ
次へ
「サアヤ。この島にいる警備隊は三番隊だけか?」 「え?」 「シャークの隊だけかどうか聞いてる」 詰め寄る勢いで尋ねられ、身体を後ろに仰け反らしながら答える。 「ま、街にいる海上警護隊は三番隊だけですけど、警備隊は別にあってリンダの父さんが...」 「リンダの父親が仕切ってんのか」 「入港管理所の所長なんです。この島の代表みたいな人で...」 「ちっ...昨日もっとリンダについて聞いてりゃ良かったな」 そう呟いたかと思えば、いきなり踵を返してフェイトが船に戻っていく。 代わりにカダールがサアヤへと近付いた。 「大丈夫...?」 「え?」 「...ソレイユ、相手するの大変...」 ソレイユが現れた直後にカダールが居なくなったため、どうなったのか気にしてくれたらしい。 大丈夫、と笑ってサアヤはカダールに笑いかける。 「ちょっとビックリしたけど、アリノアさんがすぐ来てくれたから」 「...そう」 「...街、そんなに騒がしかった?」 父親の顔を思い出し、カダールに尋ねた。 本当は父親の事を聞きたかったが、顔も知らないのに様子が分かるはずがない。 「...サアヤ、のお父さん。いた」 「え...?」 「サアヤの名前、いっぱい...呼んでる人、がいた」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加