4、森の中へ

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きっととても心配している。 そう思うと、サアヤは急に泣きたくなった。 生まれて初めて、しかも黙って居なくなった。 優しい大好きな父が、必死になって自分を探している。 無事でいるものの、自分はまだ戻れない。 リンダを置いてきてしまったから。 涙が込み上げる。 心配させてしまう。 優しい人達を。 「...サアヤ」 「...ごめん、大丈夫...大丈夫、だいじょうぶ...」 カダールも、アリノアも、心配そうな顔をしている。 泣いてはいけないと、思えば思うほど涙が込み上げる。 「...サアヤちゃん、大丈夫よ。ね?」 「...どうしよう...どうしたら良いんだろう...帰りたい...けど、リンダ...」 俯き、溢れそうな涙を二人に見られないように隠した。 帰りたいけれど、リンダを助けなくては帰れない。 帰れないけれど、父親が恋しい。 とうとう溢れてしまった涙を、何度も何度も拭う。 「サアヤちゃん、泣かないで。大丈夫よ、きっとすぐ帰してあげるから、ね?」 「...サアヤ...」 二人が声をかけてくれるのに顔を上げられず、その上余計に涙が出てきてどうにもならない。 昨日もたくさん泣いたのに。 そう思うサアヤの耳に、明るい声が響いた。 「何辛気臭い顔をしてんだ、お前ら」
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