4、森の中へ

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「フェイトさ...」 涙で滲む視界に、大きな手が映る。 「泣くな」 大きな手に、俯いていた顔を上げられる。 「帰りたいなら、送ってやる」 「え...?」 「リンダの事なら心配すんな。ちゃんと見つけて帰してやるさ」 そんな事を言われるとは思っておらず、間近に見えるフェイトの顔を見つめる。 「どうする?」 「どうするって...」 「帰るか?それとも、リンダを助けに行くか?」 リンダ。 「...やだ」 「ん?」 「帰りま、せん。リンダを、助けなくちゃ...だって」 きっとリンダの方が、もっと寂しくて怖い思いをしている。 フェイトの言葉で気が付いた。 自分はいつでも帰る事が出来る。 けれどリンダは、きっと化け物に捕まって帰れない。 「リンダと一緒じゃなきゃ、帰りません」 言い切って、フェイトを見つめた。 いつの間にか涙は止まって、視界がクリアになっている。 だから見えた。 フェイトの微笑む顔が。 「よーし、良く言った!お前ら聞いたな!サアヤが覚悟を決めたんだ、お前らも気合い入れてけよ!」 「「「うおぉっ!!」」」 フェイトが振り返り、作業を止めて成り行きを見守っていた海賊達に声をかけた。 何故か涙ぐんでいる者もいる。
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