笑顔の君に恋をした。

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ある日の放課後。 数人の女子が声を掛けてきた。 「理央くーん!今日カラオケに行かない?」 「カラオケ?」 「うん。用事ないでしょ?行こうよぉ。」 一人の女が猫なで声で俺の袖を引っ張る。 「しょうがねぇなぁ。いいぜ、行っても。」 そう言って俺が微笑むと女達は頬を赤くして喜んでいる。 (相変わらずキモい女共だな。まぁ、いい顔してりゃいつでもやれるしな。) 視線をずらすと、一人の女が視界に入った。 「ん?平島さん帰らないの?」 「・・・・・。」 どうやら読書に夢中で俺の声は聞こえてないらしい。 正直言ってむかついた。 「ねぇ、平島さんも一緒にカラオケ行かない?」 「えぇ!?何で平島さんを誘うの!?そんな暗くて地味な人ほっとけばいいじゃん!」 (キーキーうるせぇな。誘いを受けただけでも感謝しろっつうの。) 「行こうぜー。たまには読書なんてしないでさ?」 「・・・・うるさい。今良いところなんだから話しかけないで。」 俺の誘いを簡単に断ったこの女は平島美緒子。 たった一人だけ俺に夢中にならない女。 いつもグラウンド側の窓側の一番後ろの席で本を読んでる。 黒髪のセミロングで丸眼鏡をかけてて、見た目は結構地味。 今時の女子高生にしては珍しい奴。 「せっかく理央君が誘ってあげてるのに断るなんて何様ー?」 「痛い目に遭いたいの?」 馬鹿女共が平島の周りを囲んだ。 女ってこぇーな、マジで。
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