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「失礼します」
身長の二倍はあろうかという扉を開け中に入る
「やぁ、王御君。久しぶりですね」
「えぇ、最近は音沙汰もないですからねぇ~」
学園長の笑顔は何か企んでいるようだったが、とりあえず上辺の笑顔を返した
あの人は何を考えてるかよくわからなくて苦手だ…
「それで、用というのは……」
「あぁ、そうでした。貴方に折り入ってお願いがあるんですよ」
「俺に…ですか……」
「えぇ」
できれば今すぐ帰りたい
この人が『折り入って』を使うときは、いつもより面倒な頼みなのだ
だが、立場上断ることは不可能に近い
だから、ただひたすらにマシな事であるように願うだけなのだ
「実は…」
「貴方に『神』君の主人になってもらいたいのです」
「と、言いますと…」
「貴方はとてもすぐれた魔術師です。しかし………運動能力が人よりはるかに低い」
「はぁ……重々承知しています」
「50Mを走っただけで倒れる人など初めて見ましたよ…」
「……っ…///」
確かに俺は運動が苦手だ。
しかし、あの時は大掛かりな任務開けでいつも以上に疲労がたまっていたのだ。
「そこで貴方には運動能力にたけた使い魔が必要と考えました。しかし、ある程度たけた者はいましたが、貴方のカバーを出来るくらいの者がいなかったのです。」
「すみませんね…運動音痴で」
「いえ、誰にでも欠点はあるものですから。そこで、一番運動能力にすぐれた神君を使い魔にしていただきたいのです」
「はあ…、話はよくわかりました。しかし、まだ何か隠されていますね…?」
学園長は軽く笑った。
「さすがですね。その通りです」
「実は彼…“ゼロ”なんですよ」
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