164人が本棚に入れています
本棚に追加
クラブが終わり
帰り支度をして
体育館を出た時
後ろからまた
「凉先輩」と呼ばれた
初めて呼ばれた時から
思ってた事がある
なんだかこの声に
名前を呼ばれると
体全部を包まれるような温かさ
を感じてすごく和む
そんな余韻に浸っていると
「凉先輩?」
とまた呼ばれて
びっくりして
振り返ると
そこには千帆が
立っていた
「駅まで歩くんですよね?
私同じ線なんで一緒に
帰りませんか?」
恥ずかしそうに
聞く千帆に私も
恥ずかしさを隠すように
「いいよ」
とだけ言って
私は荷物を取りに
ロッカーに向かった
戻ってくると
千帆がびしょ濡れに
なって立っていた
「えっ!?何!?どうした?
なんで濡れてんの?」
私が驚いて聞くと
「トイレに行ったときに
蛇口ひねりすぎ
ちゃっただけです...」
千帆はそう言って
ちょっと笑った
でも私には分かった
何か隠してる苦笑いだと
「何隠してんの?
誰かにやられたんでしょ?
なんで言わないの?」
私が聞くと千帆は
泣き出した
最初のコメントを投稿しよう!