17人が本棚に入れています
本棚に追加
閉鎖された空間というのは、本当に面白いものだ。
それが地域であっても、国であっても、人々の意識は偏ったものへと変化していく。周りに比較する対象が無いからと、自分達を中心に置いた基準を勝手に決めて、自分達が一番だと誤認する。
そして、この時世界は十の国に区切られていた。広く広大な海や高く険しい山という物理的な原因や、相互に不信を抱くという精神的な原因から、それらは分かたれていた。
内三つ、完全に周囲を海や切り立った崖で囲われた国がある。大陸ほどの大きさはなくとも、幾つかの国が含まれる程の大きさの国から、小さな小さな島国まで。非常に熱い気候の国から、寒く乾いた国まで。決して似通うところはなくとも、これら三国は、他の全てと違い一つだけ同じ部分があった。
『他国と一切の交流を持たないこと』
さて、ではここで最初の部分を一つだけ訂正しておこう。
必ずしも、誤認であるとは限らないことを。
――知られていないだけで、遥かに高い技術を生み出している可能性は、少なからずあることを。
最初のコメントを投稿しよう!