第一話 「原因と結果」

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あまり代わり映えのない廊下を、歯を食い縛りながら走る。今、彼の胸中を占めるのは膨らみ上がった不安や怖れであろう。 「はっ、…っ、…、くそっ」 短い手足を必死に振り上げ、ともすれば襲い来る疲労から倒れてしまいそうになりながら、少年は走っていた。 と、華美な装飾の扉や天井に思考を一時中断させて、少年は急に立ち止まった。少年自身、何故立ち止まったのか理解できていないようで、小さく首を傾げながら後ろを振り返る。 瞬間、彼は再び走り出した。 「……ッ、なん、でっ…!?」 振り返り、元から目指していた方向へ一心不乱に足を出す。漏れた言葉は甲高く、悲鳴のようであった。 有り得ない 有り得ない そんなこと、有るわけ 『…さァて。よォーやく、見つケたヨ?』 声が、聞こえたの、は。 ギギギ、と音が鳴りそうな程鈍く、少年の首は横へ向く。途端、声にならない悲鳴が喉の奥から発せられた。 必死で固まりそうな足の回転するスピードを上げ、アレから逃げようと駆ける。視界が歪み、嫌な汗がドッと背中から流れ落ちた。 「ッーー!!」 アレに捕まればお仕舞いだと、心の片隅が警鐘を鳴らす。  
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