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「救急車……判らないんですか?」
「申し訳ありません。全く判りません」
その真剣そうな表情からソレが本当なんだと思う。でも……普通、ありえなくないですか!?
私は男性の顔ばかり見ていたので、不意に手元が気になってそちらに目を向ける。
「……刀?」
その青年の横には時代劇でしか見たことのないようなモノが置いてあった。座る時に外したのであろう。
「これですか?良い刀でしょう!?」
そう言って刀を私に差し出す青年。
「え?」
不意に持たされたものだから手に上手く力が入らなくて膝に落としてしまう。鞘からは抜けてはいないが、すごく驚いた。
「意外に重いんですね……」
「刀を持つのは初めてですか?」
「当たり前じゃないですか。普通に持っていたら銃刀法違反で捕まっちゃいます」
「……何ですかソレ?」
キョトンと目を丸くする青年。
……この人、常識とか知らないんですか!?
私はチラリと横目に男の人を見る。
着物を着ている……今時、着物を着て過ごす男の人っているんだ。こんなに若いのに……
ジッと見つめていたのかその人は「穴が空いちゃいますよ!」と言って少し照れていた。
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