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「あっあの話は戻りますが、私、どこで倒れてたんですか?」
「えっと……確か、二条城の近くでしたかね……」
「二条城?」
そんな所、私が知っているこの町にはないよ?
「京に住んでる人が何を言ってるんですか!二条城と言えば江戸にいた私でも知ってますよ」
「……あっあの最初の所もう一度言ってもらえませんか?」
聞き間違いですよね?
「京の都に住んでいる人が――…」
「はい!?京の都って……京都!?ここ……京都なの!?」
「へ?」
私の反応に凄く困惑している様子ながらコクリと頷いてみた青年。
「そんなわけ……ない。私は京都なんかに行ったことさえない……」
私の反応をジッと見つめていた青年が口を開いた。
「まあまあ落ち着いてください」
そう言って私に向けた笑顔にドキッとしてしまった。この人……よく見ると凄くカッコイイ。
「もしかして、記憶がないんですかね?自分の名前は言えますか?あっ!先に名乗らないといけませんね。私の名前は沖田総司といいます」
沖田総司?
……いや……まさか。そんなことありえないって。只名前が一緒ってことだよね。
「私の名前は……神流」
「名前は憶えていますね。……良い名前ですね」
そう言って微笑む沖田さん。私は……こんなに綺麗に笑う男の人を見たのは初めて。
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