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『…神流…愛してますよ』
私の記憶はそこまでだった。
前世の夢を見る様になったのは物心がついてからだった。
幼かった私は夢を見ても何て考えたことはなかった。でも年齢が重なるにつれて夢がリアルすぎて小学生の時は本気で怖かった。
中学生になると朝、目覚めるといつも頬は涙で濡れてたりもした。
でもそれが自分の前世なんて全く考えなくて
何故、自分が同じ夢を見るのか全然分からなかった。
自分の前世だと気付いたのは中学3年の時だった。
東京に住んでいた私は修学旅行で京都に向かった。
自由行動の時、グループが同じだった子が新撰組ファンらしく屯所跡に行こうと言う話になったのだった。
『総司!総司って沖田総司と同じだよな~しかも尾崎だろ??なんか近いなぁ~』
なんて友達が言いに来た。
近いから何なんだと思いながら屯所の中へ入った。
すると…………
急に自分の頭の中に…さまざまな映像が流れた。
【総司!】
【沖田さ~ん】
【総司、近藤さんが呼んでんぞー】
…何?これ…
最後に出てきた映像は…
【総司…愛してる】
いつも夢に出てくる女の人だった。
夢に見るのは断片的で…はっきりと見たことのある夢は神流との最後の場面だけ…近藤さんや、土方さんのはっきりした記憶甦ったのは京都から東京に戻ってからでした。
映像を見た時…不思議と
あぁ…物心ついた時から見てた夢は…自分の前世の記憶だったんだ。と気付いた。
『おい!総司?大丈夫か!?』
『…』
『なんか、ボーッとしてたけど!』
『大丈夫ですよ』
『ならいぃけど…!あっ!そういえば八木家には刀傷あるってガイドに書いてた!見ようぜ!沖田総司がつけたのかな!?』
『違いますよ。ドジをした原田さんがつけたやつですよ』
『…何でそんなの知ってんの!?』
…自分が一番驚いてるんですけど!
『えっ…あ…ネット?』
『お前~隠れ、新撰組ファンなんじゃねの?』
そぅ言って笑う友達。
…気付いてたら口走ってた。
…マジで沖田総司の生まれ変わりだ…
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