―夢の続き―

3/11
前へ
/316ページ
次へ
「おはよう、真琴」  リビングに入ると俺の姿に気が付いた母さんが話し掛けてきた。  「…はよ」  俺は聞き取りにくいだろう声で返事した。   テーブルには俺より一足先に朝食を食べていたユウリが座っていた。  「真琴、今日はスクランブル?」 「…なんでも」 「じゃあスクランブルね」  母さんはそういうと再び朝食を作り始めた。   俺は冷蔵庫を開けるとオレンジジュースを出し、コップに注ぎながら椅子に座った。   すると玄関から ただいま という声が聞こえた。   その声に一番に反応したのはユウリ。すぐに玄関に向かった。  「おかえりなさい!お父さん」   ユウリはそう言って父さんを迎えていた。   父さんがリビングに入ってくると真っ先に母さんのもとに近寄った。   そして…俺たちがいるにもかかわらず…抱き合ってキスをした。  「おかえりなさい。総司」 「ただいま。神流」  そしてまた抱き合ってキスをした。   これは今日だけのことではない。毎日、行われる。 父さんと母さんは医者をやっている。昨日は父さんが宿直だったらしい。じゃあ今日は母さんか…   …って。まだキスしてるし…  「いい年して…」  俺はそれだけ言うと立ち上がってリビングを出ようとした。  「真琴、お父さんにおかえりなさいは?」  …ガキじゃねーんだから。  俺は黙って部屋を出た。  .
/316ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1551人が本棚に入れています
本棚に追加