『夢』既視『現』

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――「ねぇ……泡沫君……君って、■■とか■■■■?」 何故だろう。目の前に居る黒髪の少女の声が、はっきりと聞こえない。ちゃんと聞き取ろうと近付くために、足を動かそうとしても、全く動けない。声を出そうとしても、声が出ない。 しかし、俺は何も言ってないのに彼女は頷き、フフッと笑った。 「や■■り。だって■■■、そう■う■信■■■■■だもん」 俺は何も言わない。と、言うより、言えない。 そんな俺を、不思議そうに首を傾げて、彼女はこちらを見つめている。 「……どうしたの?」 と。そして彼女は、どこか見覚えがあるような仕草をし、どこか聞き覚えのあるような言葉を言った。 「■…知って■る■よ■君、■■■■な■のでしょ■?――」 またもノイズ混じりに。 その、彼女の綺麗な声は、遮断されたままだった。
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