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毎日毎日、ほとんど同じ日々を繰り返していく事に、苦痛すら覚えてくる。
俺は、そんな事を思いながら、下校中。
上履きから靴に履き替え、頭を上げる。すると、はるひが居た。まぁ、居たのは知っていたが。
なぜだか、俺は、はるひから寄り道を誘われた。
「帰りに付き合って欲しいお店があるんだけど、いいかな? 新しく出来たパン屋さんなんだけど」
だそうだ。
「友達と行けばいいだろ?」
と、俺が言うと、はるひは不思議そうに首を傾げて。
「瀲那くんは、私の幼馴染みであり、友達だよ?」
だそうだ。全く、面倒だ。
かと言って、どうせまた運命様々、出会すのだろうと思い、俺は渋々了解した。
学校の敷地から出て、二人肩を並べて歩くこと数十分。沈黙が嫌だったのか、はるひは口を開いた。
「なんか、こうやって歩いてると、ちょっと照れ臭いね。友達に、付き合ってるのかって訊かれたし」
はにかむはるひ。
 ̄ ̄ ̄ ̄
「何を今更。金曜もその前も、ほぼ毎日こうやって歩いてるじゃないか。そりゃ、恋人同士かと思われても仕方ねぇよ」
はるひは、まだ蒼い空を見上げ、言う。
「恋人かぁ……。いいよね、恋人って」
「そうなのか? ただ、面倒くさいイメージしかないが」
馬鹿三人衆を見て、そう思った。俺が女だった場合、こんな男たちは嫌だ、と。
そして、俺みたいな男も嫌だ、と。
なら、逆もまた然り。
「まあでも、私は男の子と付き合った事ないから、実際に、交際が良いとか悪いとか、わかんない」
「ハッ。まぁ悪い男に引っ掛かるなよ」
「あはっ♪ もしかして心配してくれてるの?」
「……一応幼馴染みだからな。お前が今好きな相手、良い奴だといいな」
すると、はるひは両手を握り、目を閉じて言う。
歩きながらよく閉じれるものだ。
「うん。凄く良い人だよ。私の事、心配してくれる……」
「ああ、もうその相手とは仲良いんだな?」
「うん。私はそのつもり。今週のお休みにね、その人の家に遊びに行く約束したの♪」
「お前一人で行くのか?」
「うん」
結構、その相手とは良好な関係なんだな。
しかし、家に行くとは、はるひも意外に積極的と言うか、大胆と言うか。
「襲われないよう、気を付けるこった」
「ふふ。襲われたら……どうしようかな」
そう言って、はるひは微笑んだ。
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