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繰り返す、毎日。
そして連休の土曜日。
俺は、土曜日と日曜日は目覚ましをセットしない。何故なら、早く起きても暇だから。
まぁ、どうせまた、澪奈に起こされるのだろう。と、そう思っていた。
「瀲……!」
声が聞こえる。
俺を起こそうとする声。
だが、無視した。
俺はまだ眠いんだ。
「瀲那くん! もうお昼だよ!」
そんな事知らん。
俺はまだ眠い……ん?
違った。
澪奈の声と。
それに澪奈は俺を呼ぶときは、瀲兄だったはず。
「――って!?」
俺は瞼を開けて驚いた。
霞れた視線の先には、私服姿の、はるひが居たのだ。
「あはっ♪ 瀲那くんの寝顔見ーちゃった♪」
見られちゃった。
いや、そんな事はどうでもいい。
何だこの、恋愛シミュレーションに有りがちな、幼馴染みの女の子が朝起こしに来る、みたいなイベントは。
「おま、夏目! 何してんだよ!? ここはどこだ!?」
「おはよ。私は瀲那くんを起こしに来て、ここは瀲那くん家で、貴方は瀲那くんだよ」
俺の問に全て返答された。
んで、私は誰? とは言ってない。
「あと、それ旧姓」
失礼しました。
「あー、はるひ。とりあえず俺が言いたいのはだな……」
「ふふ。どうして私がここに居るのか、でしょ?」
はるひはそう言って、ベッドの俺の隣に座った。
そして俺の顔を覗き込むように、前屈みになって言う。
「今日、澪奈と遊ぶ約束してたんだ」
なるほど。澪奈絡みか。
言わずもがなだが、俺と幼馴染みであるはるひは、勿論、澪奈とも幼馴染み。そして親友。そりゃ、遊んで当然か。
「で、澪奈に、兄さん起こしてきてって言われたから、起こしにきたの」
兄さん。
瀲兄ではなく、兄さん。
今日は久しぶりに、ただの妹澪奈が見れるのか。
澪奈には、二つの顔がある。
一つは、ブラコン澪奈。
俺と二人っきりの時にだけ見せる、本当の顔。
そしてもう一つは……。
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