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「……お前、夢の内容知ってるのか?」
「ええ。知っていると言うより……」
ところで、真剣っぽい話の途中だが、夏月さん。シングルベッドに二人はキツイっすよ。さっきから夏月さんの胸に、俺の手の指が下敷きにされていて、ナンヤカンヤがテンヤワンヤです。
それは兎に角。
「私が、君に見せた、のよ」
「え~…あ~……」
考え中。考え中。
えっと何だって?
つまりは、俺が見ていた夢は、夏月が作って、俺に見せていた、という事なのか。
なるほど。
「納得出来るかッ!」
とは、言ったものの。
夏月は夢の内容を知っている。全て否定出来ないのも現状。
「……マジなのか?」
「マジなのよ。泡沫君」
漸く夏月は起き上がり、解放された俺の指。あの感触と温もりが、ちょっと惜しいと思ったのは秘密。
「だから、夢で話していた事は、全て現実、事実なの。で、君にも、こういう現実離れした能力が有るのよ」
どうやら、夢の続きの話をしているようだ。
とりあえず、俺は会話を合わせる事にした。
にわかには信じがたいが、実際に夢を見せられたことだし。
「……なら俺の能力は、不死ってことか?」
「残念ながら、君の能力は不死ではないわ」
予想が外れ、なんか恥ずかしい。
「この能力はね、前世に関係があるらしいの」
「前世?」
真夜中三時過ぎ。
ベッドの上で、若い男女が肩を寄せ合い。
前世について話している。
「泡沫君は、自分の前世は何か解る?」
「いや、んな事言われても……」
「前世が、人や動物、昆虫だとは限らないのよ」
「と、言うと?」
「例を上げるのなら、私の前世は夢魔」
夢魔。サキュバス。
架空上の世界に存在する、美しき女性の姿をした、悪魔。
だから、さっきの夢はあんな内容に……。
と、いうことは。
「お前……俺に正体を見せるとか何とか言っておいて、ちゃっかり餌にしたのか」
「あら、夢魔について詳しいのね。思春期故に、かしら? まぁ、ごめんなさい。私も実際に、こうやって夢を見せるのが初めてだったの。だからコントロール出来なくて……。でも安心して、泡沫君。夢で話していた事は事実だけど、他のは所詮、夢だから」
そうなのか。
まぁ、そうだろうな。
うん、そうだろうな。
じゃないとコイツ、俺の子供産んじゃうもんな。
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