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「そうなのか?」
俺は一つの意味しか知らないが。
「一つは文字通り、食欲的に食べる。二つ目は、性欲的に食べる。そして三つ目は、衝動的に食べる」
「……三つ目の意味がわからないんだが」
「ただ、私を殺したいだけって意味」
「……………………」
どれにしても、残酷な結果だった。
「そして、私にたかる泡沫君を殺そうとしたって事は……」
虫から俺に昇格した。
「二つ目の、性欲的に。かしらね」
なるほど。
つまりはストーカーなのか。それも行き過ぎたストーカー。
それなら、俺が襲われた理由が説明出来る。
夏月と一緒に居た男。
夜道、肩を並べて歩いていた男。
家まで送り届けた男。
ストーカーがそれを見て、不愉快な気持ちにならない訳がない。
「だからね、泡沫君……」
「ん?」
夏月は立ち上がり、ベランダを開けた。
涼しい夜風が、夏月の美しい黒い髪と、白いスカートを靡かせる。
夜空を背景に、半月に照らされ、揺れる髪を押さえる夏月は、とてつもなく、綺麗だった。
「私の事、守ってくれないかしら?」
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