deja vu

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「マジで!? 良かったー……」 「まだ春日さんの純潔は守られているっ」 「……ホント…良かったよぅ…」 ホント、馬鹿である。って何で三枝木泣いてるんだよ。しかもコイツら、馬鹿だから大声で喋りやがって。はるひが首傾げてこっち見てるじゃねぇか。 「!」 そしてふと、俺とはるひは目が合った。はるひは笑顔で俺に手を振る。俺は目を逸らしたが。恥ずかしくて振り返せるか。 そんなこんなで、また退屈な、いつも通りの先週通りの、学校生活での授業三昧が始まった。 言い忘れていたが、今の季節は春。俺は最近、高校二年生になったのだ。二年生になったからと言っても、一年生のときと何も変わらない。変わったと言えば、髪が少し伸びたことと、年齢が増えたこと、はるひと同じクラスになって、はるひの苗字が夏目から春日になった。それだけだった。 夏から春って、季節順逆じゃん。 そんなことを考えながら、ホームルームが始まる。昨日と同じホームルーム。また、明日も明後日も来週も、ずっと同じホームルームだろう、と、思っていた。 まだ俺はこのとき……あの少女と出逢うことなど、勿論知るよしも無かった。 俺の退屈だった、この毎日が……崩れさることなど、勿論知るよしも無かった。
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