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落ち着いた雰囲気からベテランに思われる古山だが、大卒で入団し今年で二年目。
まだまだ若手も若手だ。
187cmと長身で、インテリな印象に反して筋肉質な体格をしていた。
「しっかし、古山さんも相変わらずのむっつりっすね~」
古山の読んでいた雑誌を覗きこんで確認した黒須は、さっきのお返しとばかりにニヤニヤと笑う。
古山が読んでいた雑誌は、サラリーマンを主な講読者としている週刊誌だ。
袋綴じの中には、人前では開きにくい男のロマンが詰まったカラー写真コーナーがある。
「……たまたまそういう内容の記事も載っているだけだ。そもそも異性に興味を少なからず持つ事のどこに問題がある?」
「はいはい、小難しいっぽい屁理屈で誤魔化さないで下さいよっと~」
乱読家の古山は、読み物なら何でも読むのだという。
黒須はこの手の本を読んでいる時に限って来るのだと毎度毎度古山は主張するが、この手の雑誌と新聞以外読んでいる姿は見たことない。
古山をからかって満足した黒須は着の身着のままにベッドにダイブする。
ちなみにここは広島シャークスが宿泊するとあるホテルである。
「……寝るなら着替えてからにしろ。服がシワになる」
「良いんっすよ。どうせ明日クリーニングに出すんだし、疲れちゃったからもう寝ますね~……」
数秒もすると寝息が聞こえてきた。
こういう時だけは早い。
「……相変わらずいい加減な奴だ」
同時に大物だとも思う。
だが、
「そこは俺の寝床なんだがな……」
また、寝床が逆になるらしい。
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