第四章『チーム新編成』

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一軍昇格。 ずっとそれを目指してきた。 嬉しくないはずがない。 はずがないのだが、 「……本当に俺が呼ばれたんですか?」 「どれだけ信用できないんだよ」 元々遠征中の身。 荷物は必要最低限のものしか持ってきてないのですぐに纏まり、準備万端。 明日――正確には今朝に、始発の新幹線に乗ってチームに合流。 そのままナイターだという。 「では、行ってきます」 「失敗を恐れずに気負わずやれよ」 「分かっとります」 タクシーに乗ると駅まで移動。 始発の新幹線に乗ってそのままチームに合流だ。 「……来ちゃいましたね」 「……本当に来たんじゃな~」 東北フェニックス対千葉マリナーズ 二軍の試合ではない。 一軍の試合だ。 関係者専用の入り口から球場入り。 「やっぱり、まずは監督に挨拶が基本ですよね?」 「そうじゃの~、先輩方への挨拶も大切じゃが、まずは監督に挨拶するのが筋じゃな」 「でも、肝心の監督はどこに?」 「どこにおるんじゃろな~」 先にロッカールームに行って構わないのだろうか。 「あ、あの人に聞いてみますか。フェニックスのスタッフジャンパー来てますし、きっとチームスタッフですよ」 「そうじゃな、聞いてみるのが得策じゃろ~」 「あの、すみません」 「はい。何でしょうか?」 呼び止めたフェニックスのスタッフは、随分と小柄だった。 年齢もかなり若く見える。 バイトの学生だろうか。 「自分たち、今日からチームに合流するように言われてさっき到着したんですけど、井原監督はどちらに?」 「監督はまだ来ていませんよ。いつも選手より遅れて球場入りしますから。先にユニフォームに着替えて体を動かしたらどうですか? 僕も忘れ物を取りに戻るところだったんですよ」 何故チームスタッフが選手の利用するロッカールームに忘れ物をするのか。 そう言えば、どこかでこの顔を見たことがあったような気が。 「案内しますよ。こっちです」 小柄なスタッフは先導してロッカールームへ二人を案内する。
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