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夕食も終わり俺はさっさとめんどくさい儀式を終わらせようと赤坂を宿の裏庭に呼び寄せた、赤坂も長い髪をもてあそび照れ隠しでもしているのか全く視線を合わせない。口を開く気もない様子だ、まぁ男子からこんなところに呼び寄せて他者を遠ざけりゃ女子だって期待位するか…
なんて思想に酔っていたら、赤坂がズイッと迫り寄ってきた。ほのかに石鹸の香りが漂って、正直嫌気が差した。
赤坂『橘クン…あたし、一年の頃からずっと気になってて。
絶対修学旅行中に告白しようって思ってたら、呼び出されて…。あたし…期待しても良いの…かな?』
そこまで言うと、目がうるうるしてこちらを見ている。
女って便利だな…と思い黙っていたら急に抱き着かれた。
身体に柔らかいものが当たる、でも何も感じない。
俺が欲しいのは、柔らかさでも、石鹸の甘い爽やかな香りでも長くたなびく髪でもない。
…でも、俺が欲しいあの人は俺を見てくれてもない。
まるで俺の分身のような赤坂に同情にも似た気持ちが湧いた、可哀想な人間同士くっつくしかないのだろうか?
俺は赤坂の事は好きでも何でもないけど、気持ちは痛いくらい伝わった。
その気持ちに答えようと細い体をそっと慈しむように抱き締めた。
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