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「これからよろしく、和磨」
和磨はその言葉に顔を引きつらせた後、諦めたように言葉を紡ぐ。
「……勝手にすれば」
手を額に当てて重いため息を吐いた。
でも、その隙間から見える口元には笑みが浮かんでるように見えて。
心の底から嬉しい気持ちが湧いてきた。
私が和磨を好きでいることを、許されたような気がして。
それからだった。
私が和磨に付きまとうようになったのは。
――でも、今は……好きでいていいのかって、思う。
和磨は……迷惑してるんじゃないのかな。
……私のこと、きっと……嫌い、なんだろうな。
初めて会った時に比べてとても冷たくなった視線。
怖くて……初めて会った時のように抱きつくことなんてできなくなった。
最初は、君に嫌われてもいいから視界に映りたいと願った。
でも今は、君に嫌われていくことが怖くなって……毎日、君に会いに行くか迷う。
そう思っていても毎日君に会いに行くのは……君が、好きだから。
君と会ったら会ったで、いつもと同じように『うざい子』、としてしか接せない。
だから、いつもいつも、今以上に嫌われていない事に安心してた。
「好き、好き、大好き!
毎日、会いに行くからね、和磨」
そう言った11月のあの日。
私はただ自分の気持ちと貴方だけしか見ていなかった。
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